「それより、早く部屋戻れよ。あまり長く話してると蓮見さんに勘ぐられそう。車の中とかマジで怖かったんだからな。ずっと無言だし、でも相当怒ってるのはオーラでわかるしで、あんなに息苦しい空気初めて吸った」
「ああ、意外と心配性なところがあるんだと思う。私になにかあったら父親に悪いと思ってるみたい。責任感が強いのかも」
軽く返したからか、白崎は〝なにもわかっていない〟とばかりに呆れ笑いを浮かべてから「じゃあ、お大事にな」と帰って行き……私はというと。
「すぐに診てもらえるよう脳外科と整形外科を手配した。出るから準備しろ」
「え、いえ。これくらい湿布貼っておけば大丈夫ですし、病院なんておおげさ……」
「跡が残ったらどうする。いいからついてこい」
強引な蓮見さんにより、総合病院の整形外科を受診させられたのだった。
診察を終えたあと、外で夕飯を済ませた。
頬に湿布を貼った状態では恥ずかしいだろうと蓮見さんが予約してくれたのはフレンチの個室。中庭を眺められる部屋は、ふたりで食事をするには十分すぎるほどの広さがあった。
レンガ調の壁の間接照明や小さく流れるピアノ演奏がしっとりとした大人な雰囲気を出していて心地がよかった。
正直、内頬が切れているのでそこまで味はわからなかったのだけれど、どれも上品でおいしかったと思う。
今度母と一緒にくるのもいいかと思いながら食事を終えた。
そして、二十一時頃帰宅し、蓮見さん、私の順番でお風呂を済ませる。



