政略夫婦が迎えた初夜は、あまりに淫らで もどかしい



「柳原さん、やっぱり傷ついたかな。あのままぬるっとスルーした方が私的には嫌だと思ったけどドSだった?」
「まぁ、大丈夫だろ。声に出して振られるか気持ちスルーされるかだったら前者の方が立ち直りは早い。蓮見さんに向き合ってもらえたって、いい思い出に昇華できるんじゃないか。っていうか、五回も失恋してるならその辺、宮澤の方がよく知ってるだろ」

ケラケラとからかって笑う白崎に、やっぱり本当に全部聞かれていたんだなと肩を落とす。

五回の失恋は、私の中でトップシークレットだ。
家族と蓮見さん以外には打ち明けていない。

白崎は私との電話を繋ぎながら、会社から蓮見さんに連絡をし駆け付けてくれたらしい。

蓮見さんがタイミングよく〝レイドバッグホームズ〟の近くを車で走っているところだったから、白崎は蓮見さんに拾ってもらいすぐにここに直行したという話だ。

「それより、ありがとう。仕事中だったでしょ。抜けちゃって大丈夫?」
「ああ。モデルハウスの受付は後輩に任せたし、俺は外出で十七時戻りってことになってるから問題ない。あとは〝社長令嬢〟が口閉じててくれれば嘘だともバレない」

わざと〝社長令嬢〟と印籠を見せて私を黙らせる白崎の脇腹を拳でつく。
今回は私のせいなので、言われるまでもなく黙るつもりだ。