ダイニングテーブルの上に発見したそれは、ずいぶんそこに置いてあったはずなのに画面が明るくなったまま。
バッと白崎を見ると、彼は苦笑いを浮かべ自分の携帯の画面を私に見せる。
通話状態を表す画面だ。しかも通話相手は〝宮澤春乃〟……つまり、ずっと通話状態だったってこと?
白崎が切るだろうと思って、私はそのまま携帯を置きインターホンに出ちゃったから……そうか。なるほど。
ようやく状況を理解した。
「別になにもされていません。どちらかと言うと、私の方が感情的になって柳原さんを困らせていた感じなので、本当に全然……それより、どこまで聞こえてたんですか?」
私の携帯はスピーカーにはなっていないから、そこまで音は拾っていないはず……というか、拾っていないといいな、という思いから聞く。
けれど蓮見さんは「小さくはあったが、ほとんどは聞き取れていた」と答えたので天を仰ぎたくなったし、チラッと視線を向けた先では柳原さんが顔を覆っていた。
それはそうだと思う。
柳原さんが蓮見さんを好きだと話していたのに、それを本人に聞かれていたなんて、顔を覆いたくもなる。
私は私であの心のうちを聞かれていたと思うと落ち込みたくなるけれど、今は柳原さんの方が重症だ。どうにかできないかな、と思い……意を決して柳原さんに声をかける。
「柳原さん。あの、このままなぁなぁに事が進むのと、直接ハッキリさせるのは、どちらが好ましいですか? どちらが、柳原さんが今後気が楽に過ごせますか?」
彼女はハッとした顔で私を見てから、目を伏せ、眉を寄せた。
「そんなの決まってるでしょ。ハッキリさせた方がいい。こんな気持ち、いつまでも持っていたってツラいだけだし、今回みたいに誰かに迷惑をかけることになるかもしれない。そんなのもう、恋じゃないもの」
蓮見さんに気持ちがバレたともう割り切ったのか、ハッキリした口調だった。



