ボロボロと泣きながら弱音をもらし続ける私の相手はきっと面倒くさかったと思うのに、蓮見さんは「そうか」と何度も相槌を打って聞いてくれていた。

私がこぼした愚痴は、蓮見さんからしたらどうでもいいものばかりのはずだ。でも、ずっとベッドの端に座って、時たまティッシュで涙を拭ってくれた。

そして、届いたデリバリーを持ってまたベッドの端に陣取ると野菜たっぷりのサンドイッチやら色とりどりのチョコレートのかかったひと口ドーナツやらを私の口に運んだ。

まだ十時前なので、デリバリーの取り扱いが限られたための選択らしい。

泣いて体力を消耗した体に、栄養たっぷりのサンドイッチと甘いドーナツが吸い込まれていく。そこまですぐにエネルギーにはならないのはわかっていても、体が元気になっていくのがわかる気がした。

ベッドの上で、ベッドテーブルもなしに食事をするのはお行儀が悪い。

体調が悪くない蓮見さんはせめてダイニングテーブルで食事をとるべきだともチラッと思ったけれど、ベッドの端に座り私に食べさせる合間に自分も食べる様子をまだ見ていたくて言わなかった。

「おいしいです」
「そうか。俺は、先週おまえが作ったものの方がうまかった」

突然言われた言葉に驚く。

たしかに先週の金曜日、サンドイッチは作った。蓮見さんはそのときも『うまい』とは言ってくれていたけれど、こうしてまた話題に挙げるほどおいしいと思ってくれていたのか、と心が温かくなる。