窓から射し込む明るい日差しと、
彼の柔らかな笑顔。
そのどちらもが、温かく眩しかった。
紫月はふと、見惚れてしまっている自分
に気付き、彼から目を逸らすようにして手
にしていた紙袋を差し出した。
「これ、お土産。あなたから貰った畑の
人参でケーキを焼いてみたの。後で食べて
みましょう」
「人参ケーキ!それは世界一の贈り物だ
ね。君が焼いてくれたケーキを食べられる
なんて、幸せ過ぎるよ」
予想を裏切ることなく、やはり、大袈裟
に喜んで見せたレイに、紫月は慌てて顔の
前で手を振った。
「違うの。私一人で作ったわけじゃなく
て、実は半分以上母が作ったものなのよ。
張り切った母が、朝5時前に起きて作り
始めていたの」
苦笑いをしながら、肩を竦めながら、
それでも嬉しそうに紙袋を見つめる彼に
本当のことを白状する。もし、自分一人
で作ったなら、こんな上手くはいかなか
っただろう。だから、大喜びされると、
恥ずかしかった。
「そんなことは関係ないよ。紫月が僕の
ために作ろうと思ってくれたことが、何よ
り嬉しいんだ。後でコーヒーと一緒にいた
だこう」
そう言って紫月の肩を抱いたまま、レイ
は紙袋を手にダイニングテーブルへと向か
う。そうして、座って待っているよう紫月
に告げると、紙袋をキッチンへ置き、代わ
りに何か大きな箱のような物を持って戻っ
て来た。
椅子に腰かけた紫月は、目の前に現れた
それを見、目を丸くする。
-----次に彼が何を言い出すのか?
紫月は頭の中で思考を巡らせながら、
彼を見上げた。
「レイ、それは???」
「この間ワイヤレスイヤホンを買いに
行った時に見つけてね。面白そうだから
思わず買っちゃったんだけど、ボード
ゲーム。一緒にやってみない?」
そう言ってレイがダイニングテーブル
に置いたのは『人生巡りゲーム』という、
バンゲームだった。テレビのCMで何度か
見たことはあるが、もちろん紫月は遊んだ
ことなどない。箱の側面を見れば、対象
年齢は6歳以上。2人~6人用、と記載し
てある。つまり、一人では遊べないゲーム
だ。紫月は目をぱちくりしながら、けれど、
次の瞬間には一笑していた。
「何を言い出すかと思えば。あなたって、
本当に面白い人ね。一緒にいると飽きない
わ。いいわ、やってみましょう。私もこう
いうゲーム、やってみたかったの」
彼の家に二人きり、という、本来なら艶め
かしいシチュエーションのはずが、まったく
色気のない空気へと変わる。それはそれで、
変に意識せずに済むから、紫月にとっては
有難かったのだけど。
彼の柔らかな笑顔。
そのどちらもが、温かく眩しかった。
紫月はふと、見惚れてしまっている自分
に気付き、彼から目を逸らすようにして手
にしていた紙袋を差し出した。
「これ、お土産。あなたから貰った畑の
人参でケーキを焼いてみたの。後で食べて
みましょう」
「人参ケーキ!それは世界一の贈り物だ
ね。君が焼いてくれたケーキを食べられる
なんて、幸せ過ぎるよ」
予想を裏切ることなく、やはり、大袈裟
に喜んで見せたレイに、紫月は慌てて顔の
前で手を振った。
「違うの。私一人で作ったわけじゃなく
て、実は半分以上母が作ったものなのよ。
張り切った母が、朝5時前に起きて作り
始めていたの」
苦笑いをしながら、肩を竦めながら、
それでも嬉しそうに紙袋を見つめる彼に
本当のことを白状する。もし、自分一人
で作ったなら、こんな上手くはいかなか
っただろう。だから、大喜びされると、
恥ずかしかった。
「そんなことは関係ないよ。紫月が僕の
ために作ろうと思ってくれたことが、何よ
り嬉しいんだ。後でコーヒーと一緒にいた
だこう」
そう言って紫月の肩を抱いたまま、レイ
は紙袋を手にダイニングテーブルへと向か
う。そうして、座って待っているよう紫月
に告げると、紙袋をキッチンへ置き、代わ
りに何か大きな箱のような物を持って戻っ
て来た。
椅子に腰かけた紫月は、目の前に現れた
それを見、目を丸くする。
-----次に彼が何を言い出すのか?
紫月は頭の中で思考を巡らせながら、
彼を見上げた。
「レイ、それは???」
「この間ワイヤレスイヤホンを買いに
行った時に見つけてね。面白そうだから
思わず買っちゃったんだけど、ボード
ゲーム。一緒にやってみない?」
そう言ってレイがダイニングテーブル
に置いたのは『人生巡りゲーム』という、
バンゲームだった。テレビのCMで何度か
見たことはあるが、もちろん紫月は遊んだ
ことなどない。箱の側面を見れば、対象
年齢は6歳以上。2人~6人用、と記載し
てある。つまり、一人では遊べないゲーム
だ。紫月は目をぱちくりしながら、けれど、
次の瞬間には一笑していた。
「何を言い出すかと思えば。あなたって、
本当に面白い人ね。一緒にいると飽きない
わ。いいわ、やってみましょう。私もこう
いうゲーム、やってみたかったの」
彼の家に二人きり、という、本来なら艶め
かしいシチュエーションのはずが、まったく
色気のない空気へと変わる。それはそれで、
変に意識せずに済むから、紫月にとっては
有難かったのだけど。



