二人は石造りの流し台に肩を並べ、立って
いる。紫月が広い流し台で野菜の泥を洗い
流し、それをレイが包丁で程よいサイズに
切っていく。それは、ただ見ているだけなら
簡単な作業のようにも思えたが、使い慣れな
い大きな菜切り包丁を持つ自信がなく、紫月
は野菜を洗う作業に留めいた。
やがて、大根と人参を刻み終えると、
レイは白菜の葉を同じように太めの千切り
にし始めた。
「そう?手際がいいかはわからないけど、
こうして新鮮な野菜が手に入ることが多い
から、野菜を刻むのは好きなんだ。あとは、
これをザク切りにして入れて、っと」
そう言うと、レイはボールに刻んだ白菜
と人参の葉、そして、持ってきたツナ缶と
コーンを入れ、マヨネーズ、塩、コショウ
で味付けした。あっという間に、白菜の
ツナマヨサラダが出来上がる。
この他にも、レイは手作りのお握りと
温かなお茶をポットに入れて持って来て
くれている。紫月は、それらが居間の
テーブルに並ぶのを見、だからリュックが
膨らんでいたのか、と、ひとり得心したの
だった。
「さ、出来上がり。向こうで食べよう」
借りた皿にサラダと野菜スティックを
盛りつけ、レイが居間へ運ぶ。紫月は土間
のテーブルにあった焼き芋を手に、彼の後
に続いた。
「美味しい!人参も大根も甘いわ」
レイお手製のバーニャカウダソースに
野菜をディップして口に入れると、とても
優しい甘さが口の中に広がった。
「でしょう?これも食べてごらん。凄く
シャキシャキしてるよ」
レイがサラダを差し出す。白菜の白に
ザク切りにして入れた人参の葉がよく
映えている。
「ありがとう。いただくわ」
紫月は一箸サラダをつまみ、口に入れた。
白菜は瑞々しく、人参の葉も驚くほど柔ら
かい。もっとパサパサしているかと思いき
や、人参の葉も新鮮で甘かった。
「美味しい!これならいくらでも食べら
れそう」
もう一箸口に入れ、そう言った紫月に、
レイが満面の笑みで頷いた。
「人参の葉はね、根っこの実の部分より
断然栄養価が高いんだ。だから農家の人は
採れたての葉を味噌汁に入れたり、かき揚
げにしたりして残さず食べてる。大根の葉
も同じだよ。無農薬なら皮まで食べられる
から、野菜の栄養を丸ごといただけるし
フードロスにもならない。売り物にならな
いような訳アリ野菜も、ジャムやピクルス
に加工してホテルのお土産売り場に並べる
から、うちが経営する農場の野菜はほとんど
捨てるところがないんだ」
自作の塩握りをかじりながら、レイが
経営者の顔をして言う。
-----大地の恵みを無駄にしない。
その考え方がいかにも彼らしく、紫月は
目を細めて頷く。
いる。紫月が広い流し台で野菜の泥を洗い
流し、それをレイが包丁で程よいサイズに
切っていく。それは、ただ見ているだけなら
簡単な作業のようにも思えたが、使い慣れな
い大きな菜切り包丁を持つ自信がなく、紫月
は野菜を洗う作業に留めいた。
やがて、大根と人参を刻み終えると、
レイは白菜の葉を同じように太めの千切り
にし始めた。
「そう?手際がいいかはわからないけど、
こうして新鮮な野菜が手に入ることが多い
から、野菜を刻むのは好きなんだ。あとは、
これをザク切りにして入れて、っと」
そう言うと、レイはボールに刻んだ白菜
と人参の葉、そして、持ってきたツナ缶と
コーンを入れ、マヨネーズ、塩、コショウ
で味付けした。あっという間に、白菜の
ツナマヨサラダが出来上がる。
この他にも、レイは手作りのお握りと
温かなお茶をポットに入れて持って来て
くれている。紫月は、それらが居間の
テーブルに並ぶのを見、だからリュックが
膨らんでいたのか、と、ひとり得心したの
だった。
「さ、出来上がり。向こうで食べよう」
借りた皿にサラダと野菜スティックを
盛りつけ、レイが居間へ運ぶ。紫月は土間
のテーブルにあった焼き芋を手に、彼の後
に続いた。
「美味しい!人参も大根も甘いわ」
レイお手製のバーニャカウダソースに
野菜をディップして口に入れると、とても
優しい甘さが口の中に広がった。
「でしょう?これも食べてごらん。凄く
シャキシャキしてるよ」
レイがサラダを差し出す。白菜の白に
ザク切りにして入れた人参の葉がよく
映えている。
「ありがとう。いただくわ」
紫月は一箸サラダをつまみ、口に入れた。
白菜は瑞々しく、人参の葉も驚くほど柔ら
かい。もっとパサパサしているかと思いき
や、人参の葉も新鮮で甘かった。
「美味しい!これならいくらでも食べら
れそう」
もう一箸口に入れ、そう言った紫月に、
レイが満面の笑みで頷いた。
「人参の葉はね、根っこの実の部分より
断然栄養価が高いんだ。だから農家の人は
採れたての葉を味噌汁に入れたり、かき揚
げにしたりして残さず食べてる。大根の葉
も同じだよ。無農薬なら皮まで食べられる
から、野菜の栄養を丸ごといただけるし
フードロスにもならない。売り物にならな
いような訳アリ野菜も、ジャムやピクルス
に加工してホテルのお土産売り場に並べる
から、うちが経営する農場の野菜はほとんど
捨てるところがないんだ」
自作の塩握りをかじりながら、レイが
経営者の顔をして言う。
-----大地の恵みを無駄にしない。
その考え方がいかにも彼らしく、紫月は
目を細めて頷く。



