「――それに、どっちが悪いなんて、考えたところで何にもならねえよ。 どうせお前は、自分が悪いと思い続けるだけだ。……母親は悪くないって、自分を捨てた母親でもそんなふうに思えたお前が、悪い奴なわけねえだろ」 ……っ、 ずっと心の奥で支(つっか)えていたものが、少しずつ、涙で流されていくように、消えていった。 じゃあ、私……もう、自分を責めなくていいんだね……っ、 自分を許して、悪い奴じゃないって、思っていいんだね……。