「――んなこと急に言うなよな」


後ろからギュッと抱きしめられた。



だ、ダメだ……、こんなの、間違ってるんだよ。


「王子にはもっとふさわしい人がいるよ。……ほら、王女っぽい中村さんとか……いいじゃん。――私、は……王子の隣には、似合わない」


所詮私はいじめられっ子。そんな私が似合うはずが、ないんだ。


「なんだよ、急に。何かあったんだろ。俺に頼れよ」



「わ、私が、もう近づかないでほしいと思ってるの……っ」


全力で王子の腕の中から抜けだし、走って逃げた。