「希星ー、行くよー」
余裕そうに弟に声をかけている私だが、ついさっきまでとても焦っていたのだ。
――二時間前。
いつもより一時間も早くセットした目覚ましの音は意味をなさなかった。
「はぁ、いい朝だなぁ」
アラームより早く起きるなんて久しぶりだ。
着ていく服は昨日、悩みに悩んで決定してある。
私に似合っているかはわからない白い無地のTシャツに薄いブルーのジーンズ。
本当はスカートとかを着てみたかったけど、そもそもそんなものはないし、
希星のいざという時や、歩きやすさなどを考えて選んだのだ。
デ、デデ、デートとかじゃないし、ね。