私は、自分の名前と声が大嫌いだ。
こんな名前じゃなければ。こんな声じゃなければ。
そう何度思ったことか。
『心愛、いい子にしてるのよ。希星をよろしくね』
私が小学六年、弟が三歳のとき、母は突然消えた。
私は 自分の名前 と 声 の次くらいに、母が嫌いだ。
弟が生まれた少し後に父が亡くなってから、母はとても苦しそうだった。
きっと楽になりたかったんだろう。
……だからって小学六年だった私にすべて押し付けないでほしい。
お金は親戚の人のおかげでなんとかなってはいるけど、弟の世話があって自分のことは二の次になってしまう。
――流石に、もう慣れたけど。