「先輩は自分の名前、嫌いなの?」
「うん。嫌いだよ。大嫌い」
こんな名前じゃなければ、って何度思ったことか。
「俺はいいと思うけどな、心愛」
……っ、そんなふうに呼ばれたのがはじめてだから、なんか恥ずかしくなってくる。
「先輩、顔 真っ赤」
はは、と笑う君を見ると、余計顔が熱くなった気がした。
「――じゃあ、先輩が自分の名前好きになれるように、心愛姫って呼ぼっかな」
「ちょ、恥ずかしいって!……じゃ、じゃあ、そっちだって、騎士王子って呼んでやるっ!」
騎士と王子ってなんか変かも。
思わず、ふふ、と笑う。
「……っ」
ん?騎士王子、顔赤くない?
「あれ、もしかして……熱とか、ある……?」



