「刈谷さんから聞いたんだけど、水本さんも否定はしなかったわよ」

「そうなんだ」

「やだ、三角関係?」

三船は口角を上げてニヤッと微笑んだ。

やばい、こいつに知られた事は次の瞬間に広まる。

情報を聞き出すのには都合いい存在だが、情報を知られると厄介な存在だ。

「違うよ、俺の片想いだ」

「そうなんだ、へえ」

「検査の結果がわかったら教えてくれ、あと、亜紀と話をしたい、だからあいつがいない時間を調べてくれないか」

「あいつって刈谷さん?」

「ああ」

「恋人がいない間に奪っちゃうの?」

「お前、本当に変わらないな、人の恋の話が大好きだよな」

「そうよ、もう、自分の事は諦めてるから」

三船にしては珍しい反応だった。

「珍しいな、そんなお前久しぶりに見たよ」

「失礼ね、私だって悩みはあるんだから、まだ真央のこと忘れられないの、もう五年以上前の事だよ」

「なんだよ、急に」

「水本さんが救急搬送されて来た時、真央が生き返って来たのかと思って心臓止まりそうだった、水本さんを好きって、まさか真央の代わりじゃないよね」