亜紀の病室の前まで来ると、亜紀は眠っていた。

「どちら様でしょうか」

そう言って一人の男性が俺に声をかけた。

こいつか、刈谷秀。

俺と同世代と思わせる雰囲気を醸し出していた。

「はじめてお目にかかります、俺は東條ホールディングス社長東條理樹と申します」

「ご丁寧にありがとうございます、自分は刈谷秀と申します、亜紀のお知り合いの方でしょうか」

俺ははっきりと言った。

「亜紀と結婚の約束をしています、トラブルがあり、誤解を解く為に亜紀を探していました、亜紀と話す事は出来ますでしょうか」

「そうですか、あなたが……自分も亜紀とトラブルがあり、誤解が解けたところです、亜紀は自分と結婚します、なのでお引き取り願えますでしょうか」

「刈谷さんとの結婚を亜紀は承諾しているのでしょうか」

「もちろんです、さ、お帰りください」

俺は亜紀を目の前にして追い立てられるようにその場を離れた。