「――ねえセンセ、それでも伝わっちゃうのはラブの力ですよね!」




「そっちキャラ?二人きりなんだから大丈夫だよ光理、ローテンションに戻りなよ」






勘違いされるようなこと言わないでください。こっちの私は貴方の前だけです。





無事に解読して図書室にたどり着いた私。
奥のテーブルに座って何やら難しそうな本を読む影璃の隣に座る。





「光理、クリスマスどうする?」






やっぱり。絶対クリスマスのことだと思ったんだよなあ。






影璃は難読本を置いてほっぺたをゆるゆるに緩ませながら聞いてくる。






ほっぺた、落ちそうだな……今は先生じゃなくて影璃なんだ。オーラの差が大きすぎてわかりやすい。







クリスマス…か。







ほとんどのカレンダーにその名目が載っているような、一年の中でも特に幸せな日。





いや、それだけに関係する話じゃない。





誕生日、バレンタイン、記念日……本来なら大切な人と過ごせる行事。





そんな日には、普通のカップルなら色んなところに出掛けたり、外でご飯を食べたり。






って、合ってる?
一般的なのはそういうものだと思ってるんだけど…






そんな人並みな“デート”をしたことがないから。







私は学校以外で影璃と一緒に外へ出たことがない。当たり前だけど。





付き合ってから初めてのおっきなカップルイベント。
そんな日にやることと言えば、





「じゃあ影璃のお家で、ケーキ作ってロウソク立ててふーしようか。
可愛いロウソク百均で見つけたの」



「待ってクリスマスってロウソク立てるの?」





そう、こういう事になる。でもやっぱりケーキだけだと物足りないし、色々ご飯も作ってあげよう。