こんな調子で、気づけば大会当日になっていた。





結果はベストでは無いものの、結構調子が良かった気がする。皆も、柊璃くんも。






走り終わって記録を見たあと、ゴール真上のスタンド席にいる私のほうを見た柊璃くん。






ギブアンドテイクっていう契約を結んだからだろう。
といっても、あの日からほとんど一緒にいるけど、成功してるかっていうと失敗に近いことばかりしているので元気には頷けない。





その上での今日のタイムなら、合格を出す以外に無いだろう。






手で大きく丸をつくると柊璃くんは嬉しそうに笑った。











「――音楽の秋にしよう」




「今決めたんですか」






大会終わり、駅までの帰り道を二人で歩く。
現地集合現地解散という鬼畜なもののおかげで足はパンパンだ。



しかも、駅まで三十分はかかる。







…その間柊璃くんを独り占めできるってことだけど。






「はい、イヤホン片耳どうぞ。柊璃くんの好きな曲聴かせて!」





自分のスマホを柊璃くんに渡す。





線が短くてある程度近づかないと耳から外れてしまう。




にもかかわらず、柊璃くんは私が距離を縮めた分、距離をおく。