恐怖中学校３年B組の教室内にはイジメがあった。


今年高校受験を控えている生徒たちのストレスはある１人の女子生徒へ向けられていたのだ。


「さっき帰ってきたテスト見せてみなよ」


休憩時間中、そう言っているのは背が高くてほどよく筋肉がついているキミだった。


キミは小学校の頃から運動が得意で、女子サッカーをしている生徒だ。


「嫌だよ」


頼りない声で反論したのはユウナ。


ユウナは背が低く、分厚いメガネをかけている。


けれど成績がいいわけでもなく、ただマンガやゲームのやりすぎで視力が落ちてしまっているだけだった。


「私のを見せてあげるから見せてよ！」


そう言ってきたのはサエだ。


サエはキミと仲良しで、学校の中でも随分と成績がいい生徒だった。


毎回テスト後に張り出されている成績順でいつも１０位以内に入っている。


そんなサエのテスト結果を見たっておもしろくもなんともないことはユウナだってわかっていた。


「見せてくれなくてもいいよ」


必死になって２人から答案用紙を守る。


しかし力のあるキミに体を押されて床に倒れ込んでしまった。


持っていた答案用紙が手から離れて空中を舞う。


慌てて手を伸ばしてみても捕まえることができず、それはサエの手に収まってしまった。