ピシッと。

明らかに空気の割れる音がした。



待て待て待て。

なんでこんなとこでピリピリしてんだよ。珠紀も、昨日彼女を連れてくるって話をしてた時は和やかだったじゃねえか。



「ううん、嫌味じゃなくて事実」



「……そう」



にっこり笑ってさらに煽る珠紀にひやっとしたのも一瞬で、先に折れたのははなびの方だった。

そっけなく返したけどそれ以上何か言うつもりはないらしく、腕を組んでため息を吐いただけ。……その姿も十分威圧的ではあるけど。



「お邪魔しまーす」



……で、邪魔が入る、と。

誰だ、とそちらに視線を向ければ立っているのは3人の男。髪の色が緑、紫、ピンク……って3人とも奇抜すぎるわ。俺らも言えねえけど。




「……、シイじゃん」



そのうちのひとりは、俺のよく知る相手で。

ほかの2人も見覚えがある。『BLACK ROOM』のトップに信頼されてる直属の3人……ってことは、その関係で来たのか。



「1週間ぶりぐらい? 会いたかったよ椿」



「ごめんそういうのいらねえわ」



なんで俺の周りはこう……

いや、うん。俺はシイも芹のことも好きだけど、好きなんだけど、そうじゃねえんだよ。



「……マヤ?」



なんて俺の思考を引き戻したのは、"みやちゃん"の声で。

彼女の視線はまっすぐに、緑色の髪の男へと向けられていた。