生クリームとレモンの輪切りの上にメープルシロップがかかったワッフルを、もくもくと食べ進めているはなび。

俺でもオムライスの量結構あるなと思ったのに。それを完食してからこれって、女子の別腹すごいな。



「はなび、ダイエットでもしてんの?」



「……してたらワッフル食べてない」



「がっつり食べてる割には細いな」



空いている左手の手首を、親指と中指でつくった輪で囲うけど。

あまりにも細いせいで、まだ余裕に隙間ができるくらいはなびは細い。手首だけじゃなくて、全体的に。



「ナイフ使いたいから……手、離して」



そう言われて、特に何も考えることなく手を離す。

ワッフルを切り分けたはなびが自分でそれを食べるのかと思いきや、ひとくち分を俺に差し出す。遠慮するのもなんだから、ぱくりと食べて。




また新しく切り分けた分を食べようとしたはなびが、一瞬動きを止める。

それから俺をちらりと見るけど、あまりにも不自然すぎる動きにどうしたのかと彼女を見て。



「あ、はなび間接キスだめだったっけ」



「ゃ、そうじゃ、ない……ごめん気にしないで」



……別に間接キス嫌な女の子とかいるし、嫌だって言われても傷つかねえのに。

すばやく撤回したはなびは、それから何も言わずにもくもくと食べ進めていた。



「……今日21時までに、

先輩の家まで送り届ければ良いの?」



ぴた、と。

フォークを持つ彼女の手がまた不自然に止まるから、つられてスマホから顔を上げる。



10時に待ち合わせたのに、時間は現在15時前。

ちょっと長めに海にいたし、ここでものんびりしているせいで時間が過ぎるのは早い。