俺が料理に厳しかったことなんかないし。

はなびがつくったら絶対美味いのはわかってるから何も心配することなんてないのに、はなびは「嫌」と首を横に振った。



お菓子は良くて料理はだめなのか。



「椿は料理できないの?」



「できる、できない、とかじゃなくて……

俺が家にいたら、絶対お姫様がべったりだから。危ないし俺は基本的にキッチン立ち入り禁止」



「ああ……」



「まあ人並みにはできるけど」



あんまり材料をたくさん用意しなくて済むもので、なおかつ時間のかからないパスタなんかは簡単にできるし。

前に穂が何かで家に来た時に作ってやったのを、5人のトークグループに載せてた気がする。自慢してたんじゃなかったっけ、と。




「あ、これ俺が作ったやつ」



思い出して写真を見せたら、はなびが俺を真顔で見る。

……その表情、この間のめんどくさいことを言い出した芹とかぶるんだけど。



「"人並み"……?

もういいわたし何があっても絶対椿には料理作らない」



「……なんでだよ」



「明らかにわたしより上手いからよ」



ふんっと拗ねるはなび。

穂の写真の撮り方が上手いだけだって、と言っても全然納得してくれなくて。デザート頼んで良いから、と言えば、機嫌だけはなおしてくれた。



……食べたかったんだな、デザート。