「だ、誰かに取られるくらいなら、多少強引にいくのも一つの手かと……」



もちろん私はそんなこと出来る度胸と勇気はない。

とは言え、せんぱいなら多少強引でも許されそうだという言葉は胸に留めておく。


私の言い分を黙って聞いていたせんぱいが、不意に顔を綻ばせたから胸がキュンとなった。


そ、その心臓に悪い笑顔はなに！？



「……そうだよな。
今まで散々見てるだけだったし、」

「は、はい」

「誰かに取られるなんて、死んでも嫌だ」



相手を殺してしまいそうだ、と誰もが見惚れる素晴らしい笑顔でとんでもないことを言い出す。

何か怖いよこの人……

顔を青くしながら少し引きつっていると、せんぱいがが吹っ切れたように尋ねてくる。



「いいの？俺、一度好きになったら絶対諦めないよ。あと短気だし、独占欲も強い」

「ええっと……大切にしてくれそうですね？」


なぜ私に聞くのだろうか。

せんぱいの纏う雰囲気がなんとなく怖いので、とりあえず褒める。

そしたら、意味分かってないなと笑われた。


堀内先輩と戸梶先輩が話に入ってくる。




「四葉さん、蓮のやる気スイッチを押したね」

「あーあ、かわいそーに。
百戦錬磨が本気出すとヤバイぞ〜〜」


えっ？私、質問に答えただけで何もしてないよ！？