「あははっ、なんで知ってるのって思ったでし
 ょ」

 え、アルは思考の読み取りができたの!?

 
 「今俺が思考を読んだって思った?二人とも分か
 りやすいなぁ…。顔に全部書いてあるよ。そんな
 んだと、この世界(貴族社会)で生きていけない
 よ?」


 「「…………」」

 
 「まぁ、それは俺の範囲じゃないから一旦置いと
 くけど。で、なんで知ってるのかって?それはね
 ぇ、……」

 
 な、なんて言うのだろう…。

 
 「ザライド達が書庫に行った時、丁度俺も中にい
 たからだよ。それで二人の会話の内容が聞こえた
 んだ」


 あ、理由は至って単純だった…。


 「…なら、何故その時に出てこなかった?」

 
 「ん~…、いや、思わず隠密魔法を使っちゃった
 んだよね」

 そのせいもあって出ていけなかったんだよ。

 「あと、その時はまだ君達は俺のこと知らなかっ
 たから、警戒されて戦闘使用人を喚ばれそうだと
 思ったんだ」

 
 「「な、なるほど、確かに…」」


 うん、確かに当時はまだアルのこと知らないし、だから侵入者がいるってなって使用人を喚んでたかも…。

 お父様とお母様のお客様なら、執務室か客室に居て、1人で屋敷内をうろつかないはずだからね…。


 
 「アレ(愛し子)については、二人のお母様─アリ
 スに聞いたんだ。決して他に漏らさぬよう、約束
 させられてからね」