「なにか、心配事でもあるのかしら?」
このご婦人も味方につけて……。
ああ。でも、外にいた理由はどうする?
「ジェシカ嬢?」
うぅぅ……この二人は、敵なのか味方なのか……。
ダメだ。時間が経ちすぎている。このままでは、オリヴァーが見張りの騎士に捜索を依頼してしまうかもしれない。
「まずいんです。どうしたって……」
「なにがだ?」
「オリヴァーに……一緒に来た弟に、自分がもどるまで絶対に動くなって。料理は食べちゃダメだって……」
「ぶほっ」
思わず噴き出したフェルナンは悪くない。以前のジェシカを見ているのだから。
だが〝どうしよう〟と狼狽えるジェシカは、フェルナンが吹き出したなど全く気が付いていなかった。ついでに、必要もないのに料理を食べてはいけないと注意を受けていたとばらしている事実にも。
「おなかが空いているのかしら?」
「ええ。そこそこに。それなのに……あんな素晴らしい料理やスイーツが並べられているのに、今夜は食べたらダメだって……」
思わず涙ぐみながら語るジェシカに、同情する視線を向けるご婦人と〝だろうな〟と納得するフェルナン。
「いいわ。こうしましょう。ちょっと気分が悪くなった私に気付いたジェシカさんが、外の空気を吸いに出た私に付き添ってくれた。そこにフェルナン様が気付かれて、追いかけてきた。調子を取りもどしたからって、一緒に中にもどるの。で、お話ししながら、スイーツをつまんで弟さんを待つ。どう?」
「のった!!」
「ぶほっ」
思わず前のめりに賛成するジェシカに、またしてもフェルナンが吹き出した。
(ええい、団長さん。この素晴らしい提案を邪魔しないで欲しいわ)
「あら、フェルナン様。こんな可愛らしいお嬢さんのお願いだもの。あなたも協力してくださるわよね?」
「ええ、もちろん付き合いますよ、ロジアン夫人」
二人の協力が心底ありがたかったジェシカは、満面の笑みを浮かべた。これでなんとかなると。その頭の中に、ただでさえ冷たく見えがちなオリヴァーが、目を吊り上げてさらに冷気を纏って姉に詰め寄る姿は、もう一切見えていない。ただただ、さっき遠めに眺めたチョコレートとか、チョコレートとか、チョコレートしかない。
「ジェシカ嬢、どうぞ」
「まあ」
恭しく手を差し出すフェルナンを見てはしゃいだ声を出すロジアン夫人。フェルナンは彼女にも手を伸ばす。
「あなたもどうぞ、ロジアン夫人」
「私は大丈夫よ。それより、この可愛らしいご令嬢をエスコートしてあげなさいな」
このご婦人も味方につけて……。
ああ。でも、外にいた理由はどうする?
「ジェシカ嬢?」
うぅぅ……この二人は、敵なのか味方なのか……。
ダメだ。時間が経ちすぎている。このままでは、オリヴァーが見張りの騎士に捜索を依頼してしまうかもしれない。
「まずいんです。どうしたって……」
「なにがだ?」
「オリヴァーに……一緒に来た弟に、自分がもどるまで絶対に動くなって。料理は食べちゃダメだって……」
「ぶほっ」
思わず噴き出したフェルナンは悪くない。以前のジェシカを見ているのだから。
だが〝どうしよう〟と狼狽えるジェシカは、フェルナンが吹き出したなど全く気が付いていなかった。ついでに、必要もないのに料理を食べてはいけないと注意を受けていたとばらしている事実にも。
「おなかが空いているのかしら?」
「ええ。そこそこに。それなのに……あんな素晴らしい料理やスイーツが並べられているのに、今夜は食べたらダメだって……」
思わず涙ぐみながら語るジェシカに、同情する視線を向けるご婦人と〝だろうな〟と納得するフェルナン。
「いいわ。こうしましょう。ちょっと気分が悪くなった私に気付いたジェシカさんが、外の空気を吸いに出た私に付き添ってくれた。そこにフェルナン様が気付かれて、追いかけてきた。調子を取りもどしたからって、一緒に中にもどるの。で、お話ししながら、スイーツをつまんで弟さんを待つ。どう?」
「のった!!」
「ぶほっ」
思わず前のめりに賛成するジェシカに、またしてもフェルナンが吹き出した。
(ええい、団長さん。この素晴らしい提案を邪魔しないで欲しいわ)
「あら、フェルナン様。こんな可愛らしいお嬢さんのお願いだもの。あなたも協力してくださるわよね?」
「ええ、もちろん付き合いますよ、ロジアン夫人」
二人の協力が心底ありがたかったジェシカは、満面の笑みを浮かべた。これでなんとかなると。その頭の中に、ただでさえ冷たく見えがちなオリヴァーが、目を吊り上げてさらに冷気を纏って姉に詰め寄る姿は、もう一切見えていない。ただただ、さっき遠めに眺めたチョコレートとか、チョコレートとか、チョコレートしかない。
「ジェシカ嬢、どうぞ」
「まあ」
恭しく手を差し出すフェルナンを見てはしゃいだ声を出すロジアン夫人。フェルナンは彼女にも手を伸ばす。
「あなたもどうぞ、ロジアン夫人」
「私は大丈夫よ。それより、この可愛らしいご令嬢をエスコートしてあげなさいな」


