保健室を出ると、ちょうど昼休みだったみたいで廊下はとても賑わっていた。

 これから教室に行って、皆から変な目で見られ、孤独な時間が待ってると思うと気が重い。
 きっとみんなもうグループができてるだろうし……入学式とホームルームサボって自己紹介もしてないから、多分不良だと思われてるに違いない。

 それでみんなから遠慮されて孤立して、ぼっちな高校生活を送るんだ……

「はぁ……」

 わたしのクラスは1年1組。重い気持ちで教室のドアを開くと……

 予想していた通り、クラスメイトの視線が一斉にわたしの方を向く。
 ざわざわとした空気の中、2人の女子がこちらへと駆け寄ってきた。

 どうしよう! なんだろう、怖い……


「咲恋ちゃん……だよね?!」
「わ、懐かし」

 サラサラの黒髪ロングの女子は、満面の笑みで嬉しそうにわたしの名前を呼んだ。
 その隣りには、黒髪ショートの女子が……

「えっと……」
「あれ、覚えてない?! 如月詩音! 途中まで小学校同じだったよね?」

 詩音ちゃん……
 そうだ、わたしが小学四年生で転校するまで仲良くしてくれた詩音ちゃんと……

「凛ちゃん……?」

 ぽつりと名前を呟くと、2人は嬉しそうに微笑んだ。