(仮)愛人契約はじめました

「知らないわよ。
 好きなの持っていきなさいよ。

 あなただったら、あの人もなにも言わないでしょ」

「そうですか。
 じゃあ、これにしようかな、軽そうだし」

 唯由は比較的コンパクトなカメラを手にとった。

 そんな唯由を見ながら、緊張が解けた虹子はあくびをして言う。

「泥棒かと思ったわ」

 唯由は笑い、
「そんなの三条たちが見逃しませんよ」
と言った。

 使用人たちへの信頼感あふれる言葉だった。

 今の自分にはまだ出せない言葉だ。

 やはり、唯由こそがこの屋敷の主人に相応しいんだろうなとは思う。

 まあ、譲るつもりはないのだが。