愛人の一言も出なかったな……と思いながら、唯由はチラチラと背後の蓮太郎をうかがっていた。 蓮太郎は早月と話しながら、なにやら頷いている。 言わなくていいのですか? あなたのお嬢さんは、所詮、私の愛人ですとか言わなくていいのですか? 「あの~、お姉様。 うさぎの作り方を教えてくださるのではなかったのですか? ……お姉様、なんかすごい超絶技巧な林檎になってるんですけど」 月子に言われ、は? と唯由が手許を見ると、いつの間にか林檎に繊細で美しい、今にも飛び立ちそうな蝶が止まっていた。