「諦めないでっ。 さあ、もう一度最初からっ」 唯由の呼びかけに、月子が、はいっ、と答える。 食後のデザートにと、唯由が月子に林檎をむかせていた。 月子は、 「お姉様に、料理上手になる魔法をかけてもらいたい」 などと抜かしていたが、魔法どころか、とんだスパルタだ。 どうしても手が震えて、林檎の皮が細切れになってしまう月子を唯由が叱咤する。 「月子っ、怖がらないで。 包丁を友だちだと思ってっ」 いや、包丁が友だちな女、嫌じゃないか? と思いながら、眺めている蓮太郎に、早月が訊いてきた。