六時前、味も素っ気もない壁の丸時計を見ながら、蓮太郎は今日も残業かな、と思っていた。
今日は蓮形寺のとこには行けないか、と思ったとき、紗江がガンガンとガラスを叩いて研究室の外から叫んできた。
「れんれんー。
唯由ちゃんたちが来てるよ~」
ひっ、と後輩がビクつき、試薬瓶を落としそうになっている。
唯由ちゃんたちの『たち』が気になるな、と思いながら、紗江に連れられ、リラクゼーションルームに行くと、唯由と滅多に見かけない同期の大野美菜がいた。
美菜にそう言えば、
「人前に出てこないのは、あんたの方よっ。
っていうか、さっき会ったわよっ」
と叫んできたことだろうが。
いつ見ても可愛らしく見える唯由が自分がいつも座っているリクライニングチェアの前に立っている。
「どうした、蓮形寺」
「それが、帰ろうと思ったら、今田さんと下で出会って」
話しているうちに、此処に連れて来られたのだと言う。
唯由ちゃん来てるよって、紗江さんが連れてきたんじゃないですか……と思う蓮太郎の前で、紗江と美菜が話している。
さっきの旅行の話をしているようだ。



