(仮)愛人契約はじめました

「何処行くのよ。
 これから仕事よっ。

 まーくんは別の会社の人よっ」

「じゃあ、電話かけましょう」

「あんた、こういうときは強引ねっ。
 いつもは秘書にしても、控えすぎっていうくらい後ろにいるのに」

「チャンスの神様は前髪しかないし、高速移動してるんですよっ。
 大野さん、急いでっ」

「そんな変な神様のご厄介にはなりたくないわよっ。
 私はもうこのままやさぐれて生きるのよっ」

 そのわりに、別れて即行、コンパの計画を立てていたようだが、と思う唯由の前で、結局、美菜は、まーくんに電話した。

 電話を切った美菜は唯由に言う。

「あんたのおばさんの人気の宿。
 キャンセル出たら、私たちにも教えて。

 …………ありがとう。
 なんか引っ込みつかなくなってたの、いろいろと」

 わかりました、と唯由は笑った。