(仮)愛人契約はじめました

「温泉宿に行きたいんですよね? 雪村さん」

 いや、俺はお前に礼がしたかっただけなんだが……。

「よく考えたら、雪村さんには結構お世話になってるなと思って。

 おばさんのところなら、お母さんたちも文句言わないと思いますし。
 いつなら空いてますか?

 結構人気の宿なんで、キャンセル待ちになるかもしれませんけど。

 空いてる日にちを教えてください
 キャンセルが出たらご連絡いたします」

 仕事モードで言ってくる唯由に、テキパキと話を進められる。

 キャンセルが出て都合がつけば、即、旅行に行くことになってしまった。

 いや、なってしまったって。

 行きたかったからいいのだが……。

 スマホを切った蓮太郎は息をつめてこちらを見ている事務員さんたちの方を向く。

「……ビシッと決められました」
と言って、みんなに吹き出された。

「やっぱり、蓮形寺さん、蓮くんに似合いの人だわ~」

 そう言い、梅田も笑っていた。