(仮)愛人契約はじめました

 王様で下僕な関係からはじまったはずなのに。

 今は何故か下僕の言動にビクビクしている、と思ったとき、事務員さんたちが声をかけてくれた。

「蓮くん、頑張れっ」

 ありがとうございます。
 また、今度、行列のできる店のなにかを持ってきます、と蓮太郎は心に誓う。

「ビシッと決めるんだよ、蓮くんっ」

 電話がつながり、
「はい」
と唯由の声がした。

 大きく息を吸い、

「お……」

 お前のやりたいこと、なんでもさせてやるから、俺に礼をさせてくれ、と言おうとした。

 が、唯由の言葉の方が早かった。

「すみません。
 さっき、電話切っちゃって。

 あの、うちのおばさんがやってる温泉宿があるんですけど。
 そこでよければ、一緒に行きませんか?」

 蓮太郎は次の言葉が出ずに沈黙する。