(仮)愛人契約はじめました

「あ、私は……」

 唯由が断る前に、高速でメッセージを打ちながら、美菜が言ってきた。

「ああ、その子はいいの。
 ヤンバルクイナ飼ってるから」

 ヤンバルクイナ……? とみんなが訊き返してくる。

「野鳥の会とか入ってるの?」
範子(のりこ)が不思議なことを訊いてきた。

 それくらい日常生活に出てこない、ピンと来ない単語だからだろう、ヤンバルクイナ。

 いや、野鳥の会の人、絶滅危惧種を飼っては駄目なんでは……と思いながら、唯由はヒレカツにかぶりつく。

 熱々だから、これはこれで美味しいけど、やっぱり、おばあちゃんちのが美味しかったな、と豚大量虐殺の昼食を思い出していた。

 困ったようにだが、おじさんたちに酌をして回っていた蓮太郎の姿も思い出し、唯由はちょっと微笑んだ。