(仮)愛人契約はじめました




 現金はちょっとな、と思いながら、蓮太郎は研究棟に戻った。

 事務室でみんなと話している紗江が視界に入る。

「紗江さん」

 蓮太郎は事務室に入り、呼びかけた。

「あれ? れんれん。
 どっか行ってたの? もうお昼だよ」
と言う紗江に訊いてみた。

「蓮形寺にプレゼントをしようと思うんですが。
 なにがいいですかね?」

 ええーっ? 蓮くんが女の子にプレゼントッ、と事務員さんたちが色めき立つ。

「蓮形寺さんねえ。
 うーん。
 なにがいいかな?」

 蓮形寺さんのこと、よく知らないしねえ、と紗江は意外にまともなことを言う。

 やはり年の功だろうか。

 いきなり、現金、と言ってきた美菜とは大違いだった。