(仮)愛人契約はじめました

「だったら、ちょっと訊いてみたいんだが」

 だったらもおかしいっ。

 もし、女だったらみたいで、と思ったが。

 そこから先の蓮太郎は珍しく普通の人間だった。

「実は、蓮形寺になにかプレゼントすると言ってしまったんだが、なにがいいと思う?」

「……今、彼女へのプレゼント、なにがいいって私に訊いたっ?」

「いけなかったか?」

「いけなかったわ。
 今、彼氏とうまくいってないから」

 でも、そうじゃなくてっ、と美菜は言う。

「今、そんな普通のこと、私に訊いたっ?

 今まで私に話しかけてきたとき、あんたが言ったことって。

 散々世話になった人事の課長が髪型を変えただけで、
『あいつは誰だ?』
 って訊いてきたことと、

 入社してすぐ自分が働く研究棟の前で、
『研究棟は何処だ?』
 って訊いてきたことだけよ。

 彼女へのプレゼントなにがいいって訊いた? 今っ」