(仮)愛人契約はじめました




「あっ、ヤンバルクイナ」

 本館のロビーを歩いていた大野美菜(おおの みな)は、向こうから珍しい生き物がやって来るのに気がついた。

 白衣を着た大柄な男だ。

 びっくりするくらい整った顔をしているが、びっくりするくらい浮いた噂がない。

 まあ、今は違うようだが……と思ったとき、その男、雪村蓮太郎がこちらに向かい、手を上げてきた。

「おお、確かお前は、大野美菜(おおの みな)
 まだいたんだな、久しぶりに見た」

「……この間会ったわよ。
 あんたが社長とあんたの彼女といるときに」

「おおそうか。
 お前、滅多に見ないが、何処の部署だったっけな」