(仮)愛人契約はじめました

「『愛人契約なんて、阿呆なこと言うのはもうやめた。
 世界中の誰よりもお前が好きだ。

 結婚してくれ。
 一生、お前を大事にするから』」

「……いやあの~、そんな長いセリフ言ったら、幾ら雪村さんでも、途中で正気に返ると思うんですよね」

 スマホを離してだが、思わず、そう言ってしまい、
「蓮形寺。
 誰と話してるんだ、男か」
とまた蓮太郎に言われてしまう。

「テ、テレビですっ。
 すみませんっ。

 ひとりでテレビドラマにツッコミ入れてましたっ。
 雪村さんが帰ってしまって寂しくてっ」

 慌ててそう言ったあとで、しまったっ、また怒られるっと思ったのだが、何故だか直哉は怒ってはいなかった。

 直哉は、よかろう、という感じで頷き、いなくなり、電話の向こうの蓮太郎は何故か照れていた。

「そ、そうか。
 うん。
 俺もちょっと寂しいぞ。

 いや、かなり寂しいかな。
 でも、また会社で会えるから。

 ああ、今日の食事のお礼に今度なにかプレゼントするよ。
 じゃあ、……おやすみ」
と機嫌よく言って、蓮太郎は電話を切った。

「お、おやすみなさい」

 電話を切り、唯由が顔を上げると、直哉はもういなかった。