(仮)愛人契約はじめました

 


「あ、ありがとうございます」

 唯由は笑顔で蓮太郎を見送った。

 危ないから外に出なくていいと言うので、玄関から。

 うん、と蓮太郎は嬉しそうに頷く。

 でも、この人、わかってないよね……と唯由は思っていた。

 さっき、好きだと言ってきたとき、笑顔と言葉が全然合っていなかった。

 この人にありがちな照れもない。

 繰り返し、好きだと情熱的に告白されたが。

 情熱的なのは言葉だけで、その顔つきも口調もまったく情熱的ではなかった。

 なんか違うことを言いたかったんだろうな、というのはわかる。

 きっと仕事で疲れていたんだろう。

 そう思いはしたが、やっぱり言われて嬉しかったし。

 さっき、キスされたことだけは本当だった。

 ……愛人だからしてみたんですよね?

 愛人だから、しておかなきゃと思ってしてみたんですよね?