(仮)愛人契約はじめました

 すみませんすみません、と唯由は頭を下げ、上がってお茶でもと言ったのだが。

「いやいや、そんな野暮はしないから。
 じゃ」
と苦笑いして、彼は帰っていった。

 蓮太郎と連絡先の交換をしたあとで。

「どうぞおあがりください」
と唯由は蓮太郎に上がるよう(うなが)す。

「いや~、今、寝ぼけて、夜食作りますって言ったけど。
 正気に返って焦っちゃって。

 なに作っていいかわからなくて。
 お義母様に電話しちゃいましたよ」

 ははは、と笑ったあとで、
「中華粥でいいですか?」
と言ったのだが、蓮太郎は呆れたように言う。

「それ、どの時点でも正気に返ってなくないか……?」
と。