(仮)愛人契約はじめました

 


 寝ぼけていたな、完全に。

 スマホを切ったあとで、唯由は正気に返って焦る。

 作りますよって今、言った? 私。

 え? なにを作るつもりですか、私。

 材料ありましたっけ? 私。

 動転しながら、唯由は義母に電話する。

「お義母様、まだ起きてらっしゃいました?」

「唯由さんなの?
 あなた、なにをして……」

「お義母様、私が作る夜食、なにがお好きでしたっ?」

 唯由は何度も振り返りながら、早口に訊く。

 今にも蓮太郎の車が入ってきて、ヘッドライトで窓が明るくなりそうな気がしたのだ。