(仮)愛人契約はじめました

「ところで、俺は明日は仕事なんだが、お前はなにしてるんだ?」

「そうなんですか。
 大変ですね。

 私はそうですねえ。
 まだ引っ越してから、ゆっくり家の周りを見てないので。

 新しい商店街やスーパーを探してみようかなと思っています。

 あ、本屋さんにも行って、新しい料理の本でも買おうかな。

 最初、料理ほとんどできなかったんで。
 見様見真似で一ページずつ、全ページ作ってみたんですよ。

 怪しい味付けになったりして、お義母様とか顔しかめて食べてましたね」

 嫌がらせのために作らせているとはいえ、まずい料理を食べ続けるとは。

 気が長くて我慢強い人なのかもしれないなと思ってしまう。

 そういえば、いつも完食してくれていた。

 お義母様たち、元気だろうかな、と思ったとき、横で、蓮太郎が、ふうん、と相槌を打った。

 なにやら物言いたげだったが、らしくもなく言わなかった。

 サウナの看板だけで、なにかがデトックスされたのだろうか……?
と思いながら、タクシーで送ってもらって別れる。