(仮)愛人契約はじめました

 雪村さん、雪村さんっ。
 断るにしても、もっと穏便にっ、と唯由は思ったが、蓮太郎は彼に向かい言い放つ。

「お前、蓮形寺に気があるだろう。
 駄目だ」

 いや、なに言ってんですか~っ。

 唯由は蓮太郎を蚊の入ってるエコバッグにしまって持ち帰りたくなった。

 だが、自転車の人は、
「はい」
と言う。

「それで、あなたが蓮形寺さんと付き合ってるのか、ただ食事に来ただけなのか、探りを入れようかなと思って」

 あっけらかんと言う彼に、蓮太郎が言いかけた。

「蓮形寺は俺の愛……」

 だが、さすがの蓮太郎も外で若い娘を愛人呼ばわりするのは、外聞がよくないと気づきはじめたようで、なんとか誤魔化そうとした。