(仮)愛人契約はじめました

 花火をする蓮太郎が、湧いて来たおじさんたちと話していたとき、練行が小声で唯由に言ってきた。

「あれはいい男だな」
「えっ?」

「わしがクワを振り上げても、一歩も引かなかった。
 お前とのことを認めて欲しいという気持ちが強かったからだろう」

 ……いや、一歩も引かなかったのか、フリーズして動けなかったのかわかりませんけどね、と思いながらも、唯由は照れたように笑った。

 練行が嬉しそうにしていたことが、唯由にとっては、嬉しいことだったし――。

「そういえば、この間、エコバッグ開けたら、蚊が出てきたんですよね~」
と言うしょうもない話をしながら、席に向かっていたら、

「蓮形寺さん」
とあの自転車の人が手を振ってきた。

 男ばかりのテーブル席にいたようだ。