(仮)愛人契約はじめました

「なんだろう。
 宇宙が近くて、広すぎて息苦しいな」

「ちょっとわかる気がします」
と唯由は笑った。

 何処もかしこもぎゅうぎゅうな街中に住んでいるので、こんな場所はくつろぐ反面、長くいると落ち着かなくなる。

「子どもの頃、夜が落ちてくるみたいだって思ってましたよ」

 街の灯りのない真っ黒な空を見上げて唯由は言う。

「……十年か、二十年経って。
 こうして二人で夜道を歩いたことを思い出すのかな」

 ふと蓮太郎がそんなことを言った。

 まだ十年、二十年経ったわけでもないのに。

 未来の自分になった気持ちになって、今、こうしている自分が懐かしくなる。

 っていうか、十年、二十年後も我々は一緒にいる設定なのですかね? あなたの中では。

 王様ゲームでたまたま選んだ番号の女と?

 そのとき、思った。

 あのとき、この人が違う番号言ってたら、今、この人といたのは別の人かもしれないんだよな、と。