(仮)愛人契約はじめました

「ありがとう、おじいちゃん。
 また来るね~」

「お母さんに、たまには顔を出せと言っておいてくれ」

「……いや~、お母さん、私も滅多に見かけないんで」
と希少動物のように母を言い、じゃあ、とみんなに手を振った。

 広い道に向かって坂を下る。

 しばらく行って振り返っても、まだ何処からともなく湧いてくる人たちとともに、みんな手を振ってくれていた。

「……お前のじいさんちは二、三人知らない人が混ざって住んでてもわからないな」

「座敷童とかも混ざってるかもしれないですね」

 そんなことを言いながら、虫の音の響く真っ暗な田舎道を二人で歩く。

 スイカを食べたあの川の音がすぐ横に聞こえていた。

「星がすごいな」

 蓮太郎が空を見上げる。