(仮)愛人契約はじめました





 浴衣といえば花火だ、と梢が言うので、みんなでちょっと早い花火を楽しんだあと、蓮太郎が帰ると言い出した。

「なによ。
 泊まっていけばいいのに。

 なにしに来たのよ」

 そう梢に言われ、唯由は、

 ……ほんとうに、なにしに来たのでしょうね、我々は、
と思っていた。

 練行に挨拶をしたあとは、美味しくスイカを食べ、うさぎを眺め、昼食を食べ、うさぎを眺め、屋敷を散策し、羊を眺め、うさぎを眺め、夕食を食べ、うさぎを眺め、花火をして――

 一足早い夏休みを満喫した。

「お世話になりました。
 ありがとうございました」
と頭を下げる蓮太郎に残念がりながらも梢と雅代は、

「まあ、二人きりの方がいいわよね」

「そうですね。
 引き止めるのも野暮ですよね」
と言って笑い合う。

 ……なにも野暮ではありませんよ。