(仮)愛人契約はじめました

 

 そのまま廊下を曲がって歩いていくと、羊の写真が飾ってあった。

 草原の中に、ぽつんと立ってこちらを見ている。

「可愛いな」
と言う蓮太郎とともにそれを眺めながら唯由は言った。

「私が初めてひとりでこの家に泊まったとき、おじいちゃんが買ってきてくれたんですよ。

 夜眠れなかったらいけないからって」

「この写真の羊を見て数えろって?
 一匹しかいないが」

 そう言いながらも、蓮太郎は微笑ましげな顔をして写真を眺めていたが、

「いえ、おじいちゃんが買ってきたのは、その写真の羊です」
と唯由は言う。

「……羊」

「一匹じゃないです。
 いっぱいいます。

 もこもこです。
 まだ今も増えてますよ。

 あとで行ってみますか?」

 眠れなくなったら、今でもあの羊を数えに行くんです、と唯由は言った。

「……深すぎる祖父の愛だな」
と蓮太郎が呟く。

 そして、笑って言った。