「ちょっと季節的に早いけど。
せっかく来たんだし、着てみなさいよ」
母家に唯由たちを呼んだ梢は、唯由におばさんの、蓮太郎におじさんの浴衣を着せてくれた。
唯由が着たのは白地にあやめ柄のレトロな浴衣だった。
古代紫の帯の色がきいていて、水色のトンボ玉の帯留めも可愛い。
蓮太郎の方はモダンなストライプ柄の茶系の浴衣で体格がいいのでよく似合っていた。
着慣れている感じもある。
蓮太郎は唯由を見て、目を細めて言った。
「さっきまで、俺はここになにしに来たんだろうなと目的を見失っていたんだが」
いや、そもそも、あなたに目的なんてありませんでしたよ。
ただただ、ひいおじいさまや大王親子に操られてやってきただけですよ……、
と思う唯由に蓮太郎は言う。



