(仮)愛人契約はじめました

 屋敷の手伝いや地元の議員事務所の人たちだろうが。

 普段はこっちにいないので、よく見る家政婦さんたち以外、唯由にもよくわからない。

「雪村蓮太郎と申します」

「あんた、唯由さんの結婚相手かね」

「……会社の友人で。
 お()ぎしましょう」

 しばらくすると、蓮太郎はまた別のおじさんにビールを注がれていた。

「雪村蓮太郎と申します」

「あんた、唯由さんの結婚相手かね」

「会社の友人です。
 お注ぎしましょう」

 昼食の間、その会話は繰り返されたので。

 最初は本意に反する『会社の友人』という言葉を嫌そうに言っていた蓮太郎だったが、そのうち、機械的に言うようになっていた。

「唯由さんの会社の友人の雪村蓮太郎です。
 よろしくお願いいたします。

 お注ぎいたしましょう」

 どんどんスムーズになってきたな。

 ここに来た本来の目的を見失っているようだが……と思いながら、唯由はヒレカツを口にする。