「ヤ、ヤンバルクイナがっ」
と唯由は思わず、叫んでしまう。

 なんで研究棟からここまで来たんですかっ、と言いたかったのだが。

 頭の中で、滅多に見かけない絶滅危惧種なのに、こんなところまで出てくるとかっ、と思っていたせいで、口からついて出てしまったらしい。

「ヤンバルクイナ?」
と蓮太郎と社長に同時に訊かれ、

 すみません、すみません。
 なんでもございません、と唯由は呪文のように繰り返す。

 ぺこぺこしていると、頭の上から聞こえてきた。

「蓮太郎、なにしにここまで来たんだ」

 社長が蓮太郎に訊いているようだった。