「相変わらず横暴なやり方をしているのね。
゛国王様゛?
あなたの望み通り私はここへ来ました。
直ちにその騎士の処刑を中止しなさい。」
「お前も相変わらず生意気だな。
いいだろう。そいつの処刑はなしにする。」
横目で、彼を見る。
彼も私を黒髪に映える赤い瞳でこちらを見ていた。
すぐに国王を見据える。
「何度もしつこくその騎士が私の所に来たわ。
今更私に何の用件?」
「場所を変える。すぐに俺の部屋に来い。」
俺の部屋というのは、執務室の事だ。
基本、国王は執務室で資料に目を通し、王国の現状を把握している。
私が返事をする前に、国王は立ち去る。
「ルチア!久しぶりね!
来てくれてありがとう。すごく会いたかった。」
明るい声で言う、彼女は先程まで泣きそうな顔をしていた私の妹レイ。
「私は……会いたくなかった。」
冷たく突き放すように、距離を取る。