用意が終わると侍女はすべて下がらせ二人を待つ。 先に月影が現れた。 「今日もよい新月だな」 「そうだな」 いつも以上に穏やかな顔で笑う月影。 席に座り先に二人で酒を酌み交わす。 「誰か来るのか?」 月影が三人分の用意にすぐに聞いてくる。 「ああ、今日はお前に紹介したい者がいるのだ」 「そうか。誰だ」 「私の想い人だ」 「…玲心か。ならば私は帰るとしよう」 月影も玲心が嫌いなのだ。 席を立とうとする月影を止める。